リウマチ外科医の徒然草

より良く生きるための抜け穴探しのゆる~いブログ

抗CCP抗体陽性の未発症患者は治療が必要なのか?それとも経過観察か?

最近リウマチ外科らしからぬ投稿が多かったので、

意外と重要な臨床的な疑問を。

 

 抗CCP抗体とは?

 ACPAともいわれます。anti-citrullinated protein antibody: ACPA

海外の文献などに触れる機会が多い方では、こちらのほうがなじみが強いのではないでしょうか?

 

非常に特異度が高いのが特徴的で、陽性であれば約95%

診断がつくそうです。擬陽性は結核が挙げられます。

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

つまり、ひっかかればアウト。のものです。

 

ところが、残念なことに発症時における陽性率は50%程度で、

感度は67%といわれています

 

つまり、陰性でもリウマチは否定できません

 

症状があって検査が引っ掛からない人

こういう方には、CCP抗体が感度が低いことを考慮に入れたうえで、

関節エコー・MRIの力を借りつつ、ACR-EULAR2010 分類基準

f:id:orthopaedicrheumatologist:20170903113135p:plain

使用して、いわゆる

リウマトイド因子陰性関節リウマチを見逃さないように

努めます。同時に他の疾患との鑑別に、経験と実力が必要とされます。

 

症状があるときはとことん調べる。でいいのです。

 

 

では症状のないACPA陽性は?

これは難しい問題です。

 

自分の診察技術や、本人が気づいていない関節炎の発症の可能性があります。

また、本当に未病であったら、その期間をどうすべきなのか

という疑問が残されています。

 

ここは本当にコンセンサスがありません。

 

人によっては、発症は確実(!?)なので、MTXを使用する人もいるようです。

しかし、私はこれはいただけないと思います。

 

MTXもリスクのない薬ではありません。

目標が関節破壊の防止なら、プラリアやビスホスの使用でダメなのでしょうか?

 

というか、治療の原則は、診断がついて始めて治療です。

 

経過を見るというのではダメでしょうか?

 

 

確かに、マイクロイベントの積み重ねで、すでに抗原提示まで済んでいる状態です。

さらに発症したら予後不良の因子です。

 

この段階で見つかったのは、患者さんにとってラッキーなはずです。

 

まだ残るパラドックス、診断に関するパラドックスです。

これはコンセンサスが得られるのでしょうか?

 

#CCP抗体#関節リウマチ#診断#リウマチ因子#ACR-EULAR分類基準

#未病#高力価は予後不良