リウマチ外科医の徒然草

リウマチ診療を中心に過ごす外科医の、日々あったこと、考えたことをつづります

キーンベック病の最良の治療法は?

管理人はリウマチ手外科を専門としていますので、今の立場では治療を行うことのないキーンベック病です。ただ、私は手外科学会専門医ですので、状況によっては見るようになることもあるかもと思って勉強しました。

 

 手関節内の月状骨(げつじょうこつ)に特有な硬化像や圧壊(あっかい)像を示す骨壊死(こつえし)をキーンベック病、または月状骨軟化症(げつじょうこつなんかしょう)と呼びます。1910年、キーンベックの報告以来、この名前がつきました。
 20代の男性に発症することが多く、また工員、大工、農漁業など手をよく使う人に多く発症します。

 

f:id:orthopaedicrheumatologist:20170429212500j:plain月状骨の低信号域

 

原因は種々言われていますが、どれと言って明確になってきているものはありません。

ただ、静脈のうっ滞が原因となるのではないかというspeculationは固まってきたようです。

 

さて、今回の学会のテーマは、血管柄付き骨移植術は必要か?

でした。尺骨マイナスの症例に多く発症することが多いので、ゴールデンスタンダードは橈骨短縮術です。つまり病因そのものの治療ではありません。

また、血管柄付き骨移植術も壊死なので有効そうに見えますが、直接的な効果は期待できません。

 

北海道の先生は、橈骨短縮のみでほとんどの症例は対処ができ、不可能な症例はもはやsalvageせざるを得ないという論理でした。対する京都の先生は、血管柄付き骨移植は圧壊した月状骨の高さを回復し、手根骨の動きを回復するという論理でした。もちろん橈骨短縮は行ったうえでとのことでした。

 

橈骨短縮術はやはりスタンダードのようです。また、圧壊した月状骨でも骨癒合してさえいればそこそこ機能が保たれるようです。

私もある程度血管柄付きを行いましたが、移植骨が心もとないという印象と、術後の可動域訓練がしにくいのが気になります。

 

会場では、

血管柄付き骨移植の支持はEVENの結果でした。

 

私は橈骨短縮のみを支持します。

やっぱり同じなら侵襲の少ない方がよいかと。

 

#キーンベック病#橈骨短縮骨切り術#血管柄付き骨移植#どっちでもいい#日手会ディベート