リウマチ外科医の徒然草

より良く生きるための抜け穴探しのゆる~いブログ

Osteocrastのマウスからの採取法を見学しました 備忘録的ブログ

先日、破骨細胞Osteocrastの採取を見学しました。

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管理人は基礎実験をしたことがなく、それに関する知識も経験も不足しているというのが自分の弱点であると自覚していました。自分を常に新しくしていくには、いつも同じことを繰り返す(≒楽で安定なこと)だけでなく、時には未経験のことを自分に取り入れる必要があります。

 

この自己レベルアップの方法には、「自分の長所を徹底的に伸ばす」のと「自分の弱点を減らす」という方法の2つがあります。これらのどちらが良いかという命題は、個々人によって異なりますが、私は後者を選択することが多いです。

 

 

前回見たFACSもそうですが、私にとってはNew!なのです。

 

www.orthopaedicrheumatologist.com

 

外科医である前にリウマチ医でありたいと私は考えておりますので、全体を俯瞰する力をく養うためには、弱点を克服する必要があります。

ゆくゆくは弱点であったところにおいても、自分で判断を行えるようになれるよう、今のうちに基礎手技を知っておくのはプラスに働くと思っています。

 

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破骨細胞の採取法は苦難の道の末に簡単になった

 

www.kagakueizo.org

 

昔のフィルムがあります。

これを見てもわかりますが、破骨細胞は他の細胞と住む場所も形態も性質も違うため、分離はとても難しかったようです。

 

 

でも今はだいぶん簡単になりました。

 

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Mice!

 

を用意します。

今回はとあるmicroRNAのノックアウトマウスを用いました。

 

エーテルで×したマウスの背中の皮膚を切開し、皮下を剥きます。イメージとしては魚のカワハギのイメージでしょうか?若いマウスではするっと剥くことができます。ここではかわいそうとか感情を抑え込む必要があります。われわれの目的は破骨細胞ですので、両脚を採取する必要があります。皮をむいて、足先まで反転させて剥き切ります。

 

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次に下肢を外転伸展させ、股関節を脱臼させます。大腿骨頭がとても小さいのと比較して、周囲の筋組織が大きいので、露出できないことが多いです。脱臼させて位置を蝕知し、剪刀で離断するのがよいと思います。この際絶対に骨組織を切らないように注意する必要があります。骨髄が流出してコンタミします。

 

両側下肢を離断したら本体は破棄します。 ごめんなさい。

 

 

次は骨組織のみにします。

まず、アキレス腱を切離します。そして腱を近位に引っ張って下腿三頭筋を反転します。次はこの下腿三頭筋を含めて大腿四頭筋を骨軸方向に剪刀で除去していきます。この際骨幹部はせめてきれいにしましょう。骨に切り込まないというのも大事です。次に脛腓間から剪刀を半分挿入し、腓骨を除去します。その後は可及的に前脛骨筋などを除去します。

 

 

次は関節離断です。膝蓋腱の上から剪刀を横方向にスイングしながら半鋭的に膝を離断します。次に足関節も同様に行います。一連の動作で大腿骨と脛骨が採取できますが、細菌のコンタミが起きやすいので、アルコールをきちんとかけておきましょう。

 

 

次に骨髄内を洗浄するPBSを4℃で用意します。マウスの骨幹部は細いので、5mlシリンジに26G針をつけてPBSを充填しておきます。

準備ができたら骨端部の両端を剪刀で切離し、26Gを骨髄内に挿入して、圧力をかけてPBSで骨髄を押し出します。 このさい、シャーレに行けるのが良いと思います。骨髄組織から細胞をほぐすため、シリンジとピペットで何度も洗浄します。これを延々と繰り返します。得られた骨髄液を、一度遠心分離します。その後上澄みを捨てたのち、常温のMediumで洗います。ペレットが固いことが多いので、1mlで洗って、シャーレ培地にはあらかじめ9mlmediumを入れておくのが良いと思います。計10mlがこれで分離でき、培地に置けました。この後、GM-CSFを培地に添加して、3日置きます。

 

 

現在ココです。

 

どんな細胞が出来上がっているか楽しみです。

 

今日はただの備忘録と記録なので、読んでもらうことが前提の文章でなくてすみません。ご笑納ください。

では。