リウマチ外科医の徒然草

より良く生きるための抜け穴探しのゆる~いブログ

エジプト人に頭を殴られた気がした。本当に研究の道に進むとはいかなることなのか?

管理人です。残り少なくなった時間を家族サービスに費やしています。

 

この短い期間は

「日本人にとって留学とは何なのか?~~研究とはいったい何なのか?」

これを意識するためにもらった時間ではなかったかというように思えてきました。

 

 

 

日本の方が留学といえば、多くの場合米国や欧州へをさすと思います。普通はどこに行こうか?知っている知識を総動員して導き出し、その知識をもってアプローチ可能なところへ連絡を取り、なんとかOKが出ればそこから手続きスタート。

 

このOKを得るのが難しいのです。日本人にとっては。

先任者のような、アプローチをショートカットしてくれる人がいれば、留学先でのポジションや仕事などそのまま成り代わるだけですので、全く苦労はしません。

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通常そうはいきません。

先日私のところに、とある伝手でメールが来ました。彼は大学より留学に行く許可が下りて、行き先を探しているので、よければ私のところのSmolen教授にアプローチをお願いできないかと。

 

彼はこれまでにも経験もつてもない中、数件米国の施設にメールを送ったようですが、全くレスポンスがないとのことでした。それで慌てていると・・・

 

自分が渡航先を探して必死だったころを思い出しました。

 

www.orthopaedicrheumatologist.com

 

 

きっと彼も藁をもすがる気持ちで探しているのでしょう。

 

ところが、、です。

日本人はここからスタートなので、海外の他国、ひいては先進国以外よりも後方スタートなのです。

 

 

 

エジプト人は、1年弱の期間、Fellowshipをもらって、1本論文を書くことを目標としているとはじめ私に言っていました。ところが先日たまたま話をしていて、帰国したらどうするのかと聞いたところ、(もとは私が元の職について夜10時まで毎日病院にいるブラックな日々になるといったところからですが、、)実は期間経過後もチャンスがあればそのまま残って職を得たいと言っていました。

 

なぜそう思ったのかはここでは議論の対象外なので割愛します。彼は、私とは違って医師としての将来像を賭けてウィーンに留学に来ることを選択していたのです。

すでに学会などで自分の足掛かりになる人間を探しておき、アプローチし、どうすれば自分に有益なのかを考える。目線が若かりしときから外に向いています。

 

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翻って日本の場合はどうか? 日本の中で、先時代的な医局システムにヘキヘキしながら、よりよく生きることを考える。なので通常、自分への負担と金銭的なゲインを天秤にかけて、多くのDrが開業を選択するのです。

 

 

 

日本の医療がどうだとか文句は言っても、結局なんだかんだ日本にいるだけで食っていけてしまうので、安楽なのです。エジプト人に目を覚まされました。彼は国外に出ないと、自分の命を削ると知って賭けに出ていたのです。

 

 

 

研究についても、PhDたちは意外と働き者です。

テニュアトラックって知っていましたか?私はこちらに来て初めて知りました。

テニュア - Wikipedia

テニュアトラック普及・定着事業(科学技術人材育成費補助事業)

 

Wikiを読んでから2つ目の記事を読んでください。

 

日本の事業は本義から外れていますし、そもそも日本の研究者は、上司に搾取されすぎて伸びません。 テニュアトラックを取得することは、地獄の業火に焼かれるがごとくいばらの道を歩くことなのです。

 

 

今私が世話になっているラボでは、おそらくテニュア保持者は1~2名でしょう。他はきっと非常勤雇用の継続か、トレーニング期間中です。

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彼らが真剣な話をしているときには、日本のように論文1本あればなんとかなるというよりももっといろんなものがかかっているのを想起させるくらい、表情に鬼気迫るものがあります。彼らにとっては学会は、自分の評価を上げるための戦場です。

日本に帰ったら甘えている後輩を鍛えなおしじゃあ

 

 

 

 

日本でこれまで自分がやってきた甘っちょろい研究と、甘っちょろい学会発表をはづかしく思います。一部の天才を除いて、自分が好きなことを研究していて、安定して仕事ができるなんて不可能なのです。

 

研究とは死地に赴くがごとくと覚えり。

南無。