リウマチ外科医の徒然草

より良く生きるための抜け穴探しのゆる~いブログ

関節リウマチのリハビリテーションとは本当は何なのか?

管理人です。

先週リハビリテーション医学会が終わり、世間一般は春の学会の終了と安堵の期間が訪れているはずです。

 

 

ところが、いわゆる学術を推し進めることを義務付けられている人間(高プロ職種??)は、夜間の時間を削って、秋の学会や来年への準備をしなければなりません。 私もご多分に漏れず、教え子のスライドであったり、他人の論文の査読であったり、いわゆる雑用を投げられたり。。。

 

むしろ学会期間中よりもしんどかったりします。((笑))

エデンにたどり着くのはいつなのでしょうか?

 

 

そういう流れで避けて通れない課題が、

本当の「関節リウマチのリハビリテーション」について、考察、構築をしないといけないという思いにいたりました。一昨日学生に講義をしたのですが、なんだか自分の中でも、釈然としない部分が非常に多く残されていることに気がついてしまったのです。

 

学生さんも、「この人何がしたいんだろう?」って思ったかもしれません。

そこで、この世界をどうすべきかについて、Diveしてみることにしました。

 

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 現在のRAリハビリテーションの定義

 

巷を牛耳っているコアテキストなるものに記載されている、大阪医科大学の佐浦隆一先生が書かれています。(本当は誰かに書かせている可能性が高いと思いますが)

 

 患者目線のリハビリでは、

関節リウマチ患者さんに限らず、身の回りのことやトイレなどでは、なるべく人手を借りたくないものです。また、一日の始まりに、少しでもスムーズに身だしなみを整えることができたら、気持ちが前向きになるかもしれません。日常生活を楽しめるように、生活環境を見直したり自助具などを取り入れたりして、自分で楽(たの)しく楽(らく)に楽々(らくらく)できることを増やしていきましょう。

 

 

 

これは、どうも患者目線ではないような気がするのです。

リハビリテーションが障害学に基づくことはもちろんわかっているのですが、これから起きるかもしれない障害に対する「予防」、おきてしまった障害に対する「代償」。そこからリハビリテーションとしての処方可能な材料を検討する。そのように見えます。

 

 

治療用装具と生活用装具の違いもそうでしょうか。例えば尺側偏位の進行を予防するためのインラインスプリントは、病態と合致するため重要なことはわかっています。

でも患者におきている変形などの現象はとらえやすいですが、内的な変化などをどうとらえてどう介入したらいいのでしょうか? 

横断的に、患者の能力低下を本人と医師が(療法士でもよい)自覚した時点で、はじめて、何かできるのか考える。

 

関節リウマチのリハビリテーションとは、脳血管のリハビリテーションとは異なり、回復過程を助けるというのとは違います。次第に悪化する全身にどう向き合うかが重要なのです。

 

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一人一人のリウマチ患者の治療に立ち返る

 

普段のリウマチ診療自体は非常に横断的に行われます

一回の外来で30人程度の方が多いでしょうか?月のべ150名くらいの患者を抱えている。したがって、各患者に関節リウマチのnatural historyがあるはずです。

 

ならば、それを知って、その中のどの位置にいて、どのようなことに気を付けるべきなのか、それを指導するべきではないでしょうか?

T2Tなどは患者個人のマクロを最大化するためにミクロをきっちり横断的にしましょう。そうすれば、患者個人ではなく集合体として全体のマクロも最大化するであろうというアプローチです。

 

非常に賢いアプローチです。

ベストな横断を積み重ねることがベストな縦断を作る。

 

 

患者一人一人の生活にこれを当てはめてみましょう。

 

患者は進行する機能障害に対して、自分で適応して、自立をしています。

したがって、病院ではほとんどADL障害として訴えないことが多いです。

自覚する障害に焦点をあてるのではなく、自覚しないうちに進む障害に対してリハビリテーション的な視点からの予防を測る。

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さらに残念にも障害が発生したところには、整形外科的な発想からの治療行為を追加する。難しいのが、関節内注射は薬物療法なのか、それとも障害に対する治療行為なのかですが。

 

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概念はいいとして実際にはどうする?

 

実際の患者さんで進行し問題と将来なるのは、

・指の機能障害

・足の変形

・骨粗しょう症

・筋力低下

 

 

これらです。

指の評価と経年変化は、あまり調べられていないのが現状です。

しかし欧米、日本でも指の手術件数は増加しているようです。特に日本では、指の変形は多いような気がします。

足の変形は海外では、靴がハードな靴を屋内でも使用するため、より日本の方が不利な環境になります。

筋力、骨粗しょう症も日本人には不利です。

日本で筋力と骨量がどのような相関を示すのかという、データの取得も必要です。

 

新たなコホートを取りたいところですね。

データベース化も重要です。統計家とも組む必要がありそうですね。

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いずれにせよ、関節リウマチのリハビリテーションとは・・・

 

という問いに対して、アウトカムを最大のQOLを引く出すことと定義しますと、

最も重要なのは予防です。

薬物療法はリウマチの疫学を大きく変えました。次はリハビリによる世予防が大きく疫学を変えるかもしれません。

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