関節リウマチの指変形で有名なものに、
スワンネック変形やボタン穴変形といわれる変形があります。
これらは標準整形外科学 第13版にも記載されている、いわゆる試験に出る用語です。
今日は少し専門的なことを書きます。
- 作者: 中村利孝
- 出版社/メーカー: 医学書院
- 発売日: 2016/12/19
- メディア: 単行本
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スワンネック変形は、典型的には指のPIP関節が過伸展して、
代償的にDIP関節が屈曲します。
正式な用語では、白鳥の首変形といいます。
反対に、PIP関節が屈曲し、代償性のDIP関節過伸展を生じる変形が
ボタン穴変形です。(上図)
人によってはボタンホール変形ともいいます。
ボタン穴変形はPIP関節の背側の滑膜炎を原因とします。滑膜炎による伸筋腱中央策の脆弱化と緊張の低下、側索間の連結する繊維の弛緩によって、側索はPIP関節回転中心より掌側への落ち込みがおきます。
PIP関節の伸筋であるはずの側索が、PIP関節の掌側の落ち込むことで
屈筋として働いてしまい、PIP関節の伸展ができなくなるのです。
もともと側索は、PIP関節のポジションによって(伸展から屈曲に向けて)
背側から掌側に位置を変えるようにできています。
なので、この時点では変形は可逆的です。
Nalebuffさんはボタン穴変形の分類を発表されており、
ここあたりがstage1~2の間くらいになるでしょうか。
ここから側索の短縮がおきると一気に状況は悪化をきたします。
側索の短縮により、PIP関節の背側に再配置することができなくなります。
この時点で装具療法を始めても、側索のトラブルは不可逆、むしろ ゆるむばかりで悪化を助長します。
スワンネック変形では側索のストレッチ訓練が可能なのですが、
ボタン穴変形では、かえってそれも変形を助長します。
ボタン穴変形は当初は機能障害が軽いのですが、悪化するとたちまち手が付けられなくなります。
しかも、示指・中指の2本だけ罹患するパターンが多いです。
変形が指によって異なると、Quadloateral Phenomenonにより、
屈曲力を減損します。
すなわち、握力が減弱します。
むしろ4本ともボタン穴変形のほうが機能がよいのです。
したがって、手術適応は示指・中指パターンです。
この結果を近日中に発表を予定しています。
よければ、ご意見ください。
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