リウマチ外科医の徒然草

より良く生きるための抜け穴探しのゆる~いブログ

臓器移植と膠原病の組み合わせが最悪なわけ

最近、あまりに非典型的な関節炎(?)の方の診察を頼まれます。

 

特に原因はないのに、手や指が痛くなる。腫れる。

整形外科を受診する。 リウマチの検査を受けて、ACPAが検出される。

そして診察依頼が来る。

 

しかしなんだか、症状と抗体価、CRPと局所所見があわないんです。

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単関節のみで、CRP1弱、関節破壊はありません。

なのに半年も腫れたままのようです。しかも指節間も腫れているような・・

ACPAも15くらい。陽性といえば陽性ですが・・・

エコーを行ったところ、関節もですが、腱周囲に炎症が見られます。

 

何より単関節なら、感染を除外しなければいけません!

一応seropositiveですが、心を鬼にして治療前に生検をお勧めしました。

 

かなり患者さんには気分を害されたようですが、、、、確かに診断がなかなかつかないといい気分はしませんよね。結構、私が苦慮して決断をしていることは全く意に介さない暴言をかなり吐かれました。。。

 

結果としては・・・病理所見でリンパ濾胞の形成が確認され、無事にリウマチの診断に至りました。

 

何がこう、所見をぶらすのでしょうか?

結果としてはリウマチで、誤診ではないですが、治療が少し遅れたのは確かです。

この方も腎移植を受けておられ、ステロイドを含めてもともと免疫抑制剤を併用しています。それで、症状がマスクされて単関節炎に見えたのでしょうか??

 

そもそも腎移植患者は、リウマチの最大の武器であるMTXが使用できないうえに、われわれの使用量をはるかに超える免疫抑制剤を使用した状態で、外来に来られます。

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さらに診断もむつかしいとなると、最大の敵といってもいいかもしれませんね。