リウマチ外科医の徒然草

より良く生きるための抜け穴探しのゆる~いブログ

リウマチ外科医に未来はあるのか? ー時代の変化に取り残されるのか希少価値が出るのかー

管理人です。

久々に自分の専門分野について。

 

 

私はリウマチ医を自認していますが、ベースは整形外科医です。

一般的には海外でリウマチ医というと、Rheumatologistを意味し、それはリウマチ内科のことを言います。

どちらかというと免疫内科的な感じで、SLEや地中海熱など全身疾患の診察が占める部分が半分以上を占めます。

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それが生物学的製剤の登場で、関節リウマチ(海外では慢性他関節炎:Chronic Polyarthritis CPといわれます)の治療が以前より格段にしやすくなったことで、患者が増えたわけではないけど、リウマチ医にみてもらう患者の数が増えるという現象が起きています。患者が専門医に集中するという現象が起きました。

 

 

日本に限らずどの国でもリウマチ医の対象者は増加傾向にあります。

ましてや脊椎関節炎などの疾患概念が次第に増えていることから、日本においてこれまで頑張ってきた整形外科医も、最近はリウマチ診療を手放していく方向にあります。

 

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そうなんです。

整形外科系リウマチ医は絶滅危惧種といえ、

さらにどんどん減っているのです。

 

 

整形外科系リウマチ医の未来はどんなものなんでしょうか?

リウマチ患者さんが相手であれば、整形外科系であっても投薬は十分にできますし、生物学的製剤の使用も滞りなく行うことができます。薬物療法に関して問題ありません。

手術はもちろん、適応・タイミングを含めて、絶対に整形外科に分があります。

リハビリテーションも通常なら整形外科のほうが強いといえます。

 

 

ただ、整形外科全体のフィールドの広さから見たらリウマチは、絶対的に猫の額です。花形は脊椎やスポーツ医です。

 

整形外科医からすると、リウマチをしようとする人はどっちかというと変人です(笑)

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では、未来のリウマチ整形外科医はどうなっているのでしょうか?

未来像について考えてみました。

 

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このような患者は絶対的に減少していく傾向にあります。

すでにウィーンでは、長期罹患患者が少なくなっているのか、変形を有する患者はあまり見かけなくなっていました。ところが、日本に帰国して、同僚のリウマチ医に聞いてみたところ、次々に手術が必要なくらいの変形を有する、ADLを著しく害した患者が来院するとのことなのです。

 

 

ということは

やはり日本は生物学的製剤を含めた薬物療法が海外よりも弱いということです。どうしても関節破壊を生じる症例が、少なくないし、過去に悪かった患者さんや、中には整体師などにネグレクトを受けた人も結構います。

 

しかしそれでも、現在の治療方針の普及と、専門家へなるべく早く受診するという方向が拡大していることから、いずれ変形はネグレクト症例やがんなどの合併症で治療ができないなどだけになっていくことが予想されます。

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このようなことを考え合わせると、リウマチ外科医は時代の孤児になる可能性があります。一般の整形外科医に戻るのか、リウマチ内科にそのまま解脱するのか。この選択肢を自らに課すことが遠くない未来にありそうです。

 

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私はこんなことをこれまでは後輩たちに説明してきました。しかし、これからはいうことを変えないといけないです。

 

 

しかしこうも考えています。

 

AIがこれから登場すると、おそらく診断が第一に浸食されると思います。というのも、条件付け、パターン分けが容易だからです。もちろん非典型的なものなど難しい場合は医師の診断を要すると思いますが、総合診療医といわれる人たちが最も先に影響を受けると思っています。広く浅くでは、未来はないのです。病院の入り口にはまず、コンピュータ診断が並ぶ日は遠くないとおもっています。

 

そういう意味では、リウマチ内科も初期治療が容易になってしまうと、職にあぶれる可能性があります。というのも、初発の若い人では投薬はアルゴリズム通りで大丈夫だからです。リウマチ内科はハイレベルな症例のみ、医師の手を借りることになるでしょう。

 

そうなったときには、内科は経験豊かな人。外科は手術とその判断ができる人。

これしか残りません。

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となれば、これから人口が増える内科でトップを目指して頑張るか、もしくは希少価値の出る代わりに症例が減る外科で耐えるか。

 

 

とはいえ、何よりも患者さんの役に立つ、需要のある所に職があるでしょう。

リウマチ外科医の生き残りの話ですが、どの科でもいえることですよ。

 

放射線科や皮膚科は対岸の火事ではないはず。

すでにぽすとがへってるでしょ?  ではでは。