管理人は表題について疑問を持ちましたので、調べてみました。
関節リウマチ治療にかかわる人間はみな避けては通れない(?)ものがこの、「統合性疾患活動性指標」です。
いかつい名前ですが、平たく言えばDAS-28、CDAI、SDAIのことです。
英語でいえばcomposite measureといいます。英語の方がはるかに実用的な名前です。意味が分かりにくいのですが、最近は他の疾患においても用いられますので、言うならば病気の火の勢い”と、患者には説明しています。
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これを避けては研究はできない
実に単純な仕掛けなのですが、薬物療法のコンロトロールを意味するので、研究をする、少なくても学会発表レベルでも欠かすことができない指標です。
これだ抜けているだけで、バイオ各社は市販後調査など苦労していることともいます。欠損値なので、仕方がないのですが、統計上は補正できないので、臨床研究の足を引っ張ります。
でも臨床家を責めないでほしいのです。
めちゃくちゃめんどくさいのです。
ではどれを使うのか?
歴史的には、実はより古くからあるのはSDAIとCDAIです。ずっと前から関節腫脹数や圧痛関節数を評価として取り入れるだけでなく、患者立脚型評価といいますか、患者VASを評価に用いてました。
今の主流である患者立脚型に見事に合致しています。
これらが長年忘れ去られていたという理由に関しては、私も知らないのですが、バイオ登場前後から時代はDAS-28に移っていきます。
このDAS-28ですが、もともとはフルのDASというのがありました。足などを含めて全身の関節を網羅的に評価して、罹患関節数としてカウントアップしていました。
このDASは、SDAI/CDAIの欠点であった、各評価項目の重みづけという部分をカバーしています。
DASの計算式はおそらく多変量解析から出されています。
DAS28-ESR = 0.56×√(TJC)+0.28×√(SJC)+0.7×LN(ESR)+0.014×(VAS)
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偏回帰係数が、相関係数にあたります。
ということは
圧痛関節は腫脹関節の2倍のインパクトを疾患活動性指標に与えていることになります。
ところがどっこい時代はさらに進んで逆戻り
ところが、このDASも初めは44関節で取っていたのが、股関節を調べにくいこと、靴を脱がないと足をチェックできないこと(欧米では靴はほとんど脱げないレベルに革靴を履いている)、から 簡単に触って診断できる28関節に減らそうという流れが起きました。
なので、DAS-28をDASにリンクさせるよう、回帰係数の調整が行われました。
そうして登場したのがDAS-28ということになります。
ところがこのDAS-28、正確を期して作られたはずなのに、煩雑だという話になります。このようなネットサイトもしくは専用計算機などを用いて計算する必要があるので、臨床的には使えないといわれてしまいます。
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結局、直に足すだけというSDAI/CDAIに戻ってしまったんです。
これが可能になったのは、最近のコントロールが良好な患者が増えてきたことがあります。腫脹があっても数関節レベル。これなら回帰式を書くまでもないかもしれません。
現在は欧州ではSDAIとCDAIが使われています。
さらに採血が後で行われるので、CDAIということになります。
日本では切り替えが遅れた
ところがです。
じゃあDASをやめよう!というわけにはいきません。
多くのRAスタディーは現在データベースで動いています。
こぞってDAS-28に移行したスタディーは、
患者VASはとっていても医師VASを取っていないのです。
ということは、
これからSDAIに切り替えても、過去のデータのDASをSDAIに変換できないのです。DASは式もややこしいので、生データをもともと登録していなかったデータベースもあるでしょう。
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ヨーロッパの心変わりにいっつも日本は振り回される。
どこの世界でも同じですね。
私は新規コホートを立てるときにはCDAIにします。
そして生データで入れるようにしようかと。