管理人です。
先日はPIP関節の伸展制限、DIP関節の過伸展変形を呈する指変形、、、
いわゆるボタン穴変形の再建術を行いました。
ネットで調べるとこんなのが出てくる
このあたりが一番詳しい、専門的にやっているところかもしれません。
治療の数が日本で最も多いと思われるのは、
新潟リウマチセンターであると思います。石川肇先生が有名です。
ネット上で術式について細かく書いているのは、私くらいでしょうか(笑)
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www.orthopaedicrheumatologist.com
詳細はこちらを見てもらえるとありがたいです。
今回の冒頭に乗せた写真は、まさにこの
”示指ー中指”パターンでした。
本来ならばこれに加えて人工関節も同時に行うべきだったのですが、患者がまだ若く、仕事も現役で現場でされていたので、腱のみの再建としました。
術中所見です。
1.中央索の遠位付着部の腱成分が不明瞭
2.側索がどこにあるか見えないくらい落ち込んでいる
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まさに教科書通りでした。
手術手技書にあるとおりです。
目指すは中央索の前進と、側索の伸筋化です。
ところが1の所見があり、本当ならば、可能ならば、
停止部より15ミリくらい近位の、腱繊維がはっきり見えるところまで切除して
腱を中節骨に縫着したいところです。
ところが、実際にはそれは不可能です。この位置における中央索は滑走距離は5ミリにも満ちません。したがって、15mmの前進は不可能なのです。
また側索は落ち込んでいるものの、連結した瘢痕組織により実際にはほとんど伸展機構は滑走できないのです。
これは実際に術野を見ないとわからないことだと思います。
ということで、実臨床では、Matev法のように側索を
段違い切離して、中央索を再建する方法や、今回私の行ったVY縫縮が行われます。
実際のVY縫縮は、一部瘢痕化した腱成分と背側関節包を一塊として、腱近位部に縫い縮めることになります。その後斜辺同志を縫縮する。
完成図です。
<googleにより衝撃的なコンテンツとされましたので、画像はいったん引きました。>
手前が近位です。
盛り上がっているところが斜辺のフラップの縫縮部分です。
左にある筋鈎の真下の白色のものが側索です。
側索は見事に持ち上げられました。
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VY縫縮の限界点
これはイコール関節温存手術の限界点とも言い換えることができます。
腱の形成術なので、関節の適合性が不良な関節では、最終結果はあまりよくありません。しかし背側の骨棘ならば場合により一部切除できるかもしれません。
何よりも適合性です。
そしてもう一つの致命的な限界点が、側索の短縮です。
ボタン穴変形でもスワンネック変形と同様に高度短縮をします。
しかも、前述の記事の通り、ボタン穴ではストレッチをする方法がないのです。
これが高度になりすぎると、PIP関節で背側に持ち上げることができず、Matevしかできなくなります。
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それと加えて、
関節が痛んでいるときには、人工関節置換とVY縫縮は両立できるのでしょうか?
フラップを長くおこし、側副靭帯を一部剥離すれば関節面を正面に見てアプローチも可能かもしれません。背側の縫縮をきちんと行うならば、おそらく一部の側副靭帯の剥離は問題ないと思われます。
なので、実際の限界は側索の評価になるでしょう。
側索の定量的な拘縮評価法はあるのでしょうか??