今年も科研費の季節がやってきました。
科研費は、応募ベースではあるのですが、わかりやすく業績になるので、大学組織では持っているかどうかが、重視されるし提出しないというのは許されない環境にあります。
建前としてはこれから行う研究に対して助成を申請するので、
計画は申請を行う時点で計画することとなります。
しかし研究なるものは、臨床・研究で現在行っていることなどから枝葉を伸ばしていくように、広がっていくものなので、
考えて、天から降りてくる類のものではありません。
計画を直前に必死に考えているようでは・・・
悩ましいの図
兎にも角にも、今年は3名分を担当することとなりました。
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現在のプロジェクト
日本においても、ある程度のマスのコホート研究があります。
有名というか、検索でヒットするのは、大阪市立大学のグループです。
整形外科学会でも複数の発表を行われています。
栄養面での、健康な人との乖離は乳製品関連とされています。
他にある発表として栄養関連では、徳島大学のグループから高脂肪食と体細胞量の減少が問題となるとされているようです。BCMの比が・・・・ということが。
日本においてわかっているのはここまでのようです。現場ではもう少し先まですすんでいるのかもしれません
筋量に関しては、SMIベースで女性が平均5.4 男性が6.7であり、同じく35.1%と39.5%であったとされる。 大阪市立でも大体同様だったように思います。
これは軽症患者が数的には多く含まれていることが想定されます。
私の持っているデータでは、歩行速度まで取って診断基準にあてはめると、ある一定の患者層を取った場合70%を超える割合で、関節リウマチ患者はサルコペニアなんです。
私は、患者の日常生活を守るためにロコモティブシンドロームと同様に、肉体改造が必須と考えます。そのために薬物療法と運動療法を併用する。装具などは生活手段ですので、ここでは外して考えてもよいかと。
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マイオカインの種類
マイオカインは、収縮に伴って、筋より分泌されるということが認定要件です。
最も多く分泌されるものは、IL-6です。
筋―肝のクロストークを担っているとされ、肝でのグルコース産生に寄与します。また筋内脂肪にも(全身という説もあり)働き、脂肪酸の参加を起こします。インスリンのレセプターのダウンレギュレーションを含めて、結果としてインスリン感受性の改善をもたらします。
優しく言うと、運動してIL-6が出るほど、インスリンが効くようになるんです。
また一定の濃度まで上がると、健康な人でも脂肪分解に向かう。まさに万能薬。
しかしIL-6は同時に免疫系・炎症系にも作用します。
リウマチ財団HPより
本来の図であればマクロファージから分泌されるサイトカインで炎症性の作用ですが、同時にマクロファージにもレセプターがあって、TNF産生を抑制する、迂回路を通ってですが、炎症のダウンレギュレーションにも作用します。
循環血液中の濃度がTNF濃度を制御するという話です。
IL-6の分泌の時間的経過では、運動開始から30分以内にmRNAの転写が著増し、筋内の濃度は血中の5~100倍にまで上昇する。
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血中濃度も報告によっては、2時間後にmRNAベースで有意な上昇があり、ピークは6時間後になるようです。血中は2時間後がピークで6時間後に戻る。われわれが運動をかんばりすぎた後に自覚する体の疲労感、体熱感などと相関しているかもしれません。
これは健常人を用いて、筋前後の動静脈を測定しているようなので、間違いなさそうです。問題はこれを一般常識にどう落とし込むかですが、
おおむね、
グリコーゲンのあるうち(開始~15,20分)
グリコーゲン使用するため、IL-6は動員されない(mRNAは上がりだす)
グリコーゲン枯渇(20分以降)
IL-6が動員され、肝臓からのグルコース産生が開始される。同時にIL-6がパージされ、脂肪酸の酸化によるエネルギー産生が開始される。
長時間運動
筋線維と間質に貯蔵されたIL-6が血中に放出され、2時間後にピークになる。インスリン刺激によるグルコース取り込み増大 インスリン感受性改善 TNFもダウンレギュレーションされる。
いずれにせよ、IL-6は代謝を中心に働くということが明らかです。
その意味でも、筋はやはり代謝器官なんだと思います。
まさにエンジン。
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次に気になるのが、マイオスタチンです。
マイオカインというと、筋収縮=運動 をすると筋から分泌されるということから、普通は運動すればより多く出る。 つまりアップレギュレーションされていると思うのが、通常なのですが、。
実はマイオスタチンは、抑制因子なんです。マウスでこの遺伝子をKOすると、異常な筋肥大マウスができます。同時に全身の脂肪細胞が減少します。
マイオスタチンの発現は、いわゆる有酸素でも無酸素でも低下します。
ただ、細かいことはよくわかっていないようです。
これからの課題です。
他にもIL-7とか、LIFとかIL-15とかあります。
ただこれらも細かくはわかっていないようです。これからも基礎系の多くの優秀な研究者たちによって、解明されていくでしょう。わたしは一臨床家なので、どうすればこれを一番早く患者に持っていけるのであろうか?
そこにつきます。
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リウマチ患者ではどうなればよいのか?
リウマチ患者は、わかりやすいフレイル患者です。筋力が低下、ADLが低下するのをあらかじめ予防する、もしくは改善することに意味があります。
どうすればmobilityを改善できるのか?(下肢)
どうすればactivityが改善できるのか?(上肢)
高齢フレイル関節炎患者では、レジスタンストレーニングは痛みの発生など、コントロール下にやる必要があります。どちらかというと、有酸素の方が向いているのかもしれませんね。
今現在進行中の身体活動量の調査の結果が待ち遠しいところです。
では。