リウマチ外科医の徒然草

より良く生きるための抜け穴探しのゆる~いブログ

セロネガティブ関節リウマチ症例にアクテムラやケブザラはより有効って本当?

管理人です。

 

多忙だけでなく、年内で少し重い任を解かれるのでやや終わった感といいますか、ゆっくりとしたいという気持ちだったので、更新が滞っていました。

 

 

先日、疼痛が強かったので、久しぶりに入院の上のバイオ導入を行いました。

f:id:orthopaedicrheumatologist:20181227111252p:plain

<広告>

 

 

 

症例:80代後半、女性

 

この患者さんは、結構大きな病院の整形外科(JCHOくらいの規模)を初診されました。

 

個々の整形外科は膝専門の先生が多いことが売りの病院です。

自宅が近いというわけではないようですが、両膝が腫れていたくて歩けないということで、その病院を初診されたようです。

 

 

関節内水腫の穿刺とヒアルロン酸の注射を複数回受けたようです。

高齢のため、もともと膝関節レントゲンには変形性関節症像が出ています。

 

 

なんと、膝専門の先生はこの時点で手術適応→人工関節!!

 

と判断されたようです。

f:id:orthopaedicrheumatologist:20181227111556p:plain



患者さんは数カ月前から急に症状が悪くなってきただけなので、

”手術?!”となったようです。

 

しかし医師の押しが強く、どんどん術前検査が進んだといってました。

<広告>

 

 

 

 

術前検査で炎症反応が高いと判明する件

 

そして、術前検査。

 

?? CRP 8.06? 

 

 

ここで初めてRAではないかと思ったようです。

 

追加採血。

RF:陰性 CCP抗体:陰性

 

 

おそらくこれら抗体が陽性ならRAということで、

薬物療法なしに手術に踏み切ろうとしていたのでしょう。

 

怒!! これだから膝しかしない人間は。。。

 

診断がわからないのと、患者が渋りだしたので、自分で抱えきれなくなったとのことで、ようやくここで私のところに紹介してきました。

 

<広告>

 

 

 

 

リウマチ医にたどり着くのに半年かかった件

 

そうして来られましたが、

CRPは相変わらず10前後。

血清反応陰性。

 

そしてMMP-3はなんと3000超え!!!

 

両膝以外の部位には症状はありません。

 

この時点ではACR/EULARは6点を超えません。

骨びらんもレントゲンではまだ見えません。

 

 

 

MRI、エコーを行いました。

 

MRIでは軟骨の菲薄化はあるものの、膝なのでびらんは認めず。

しかし著明は滑膜増勢が認められました。

エコーでは関節包内に絨毛状の滑膜と、それに沿ったPD2+の所見がありました。

 

<広告>

 

 

 

 

リウマチ医としての矜持です。

これだけ所見がそろえば診断できます。

「血清反応陰性関節リウマチ」

 

 

 ここまで発症から6か月(半年)。。。

 

つねづね膝関節外科は役に立たん。

中には慎重ないい人もいるんだけどね。膝のことしか考えてないし、手術をすることしか頭にない。。。。

 <広告>

 

 

 

 

診断からも苦難の道でした

 

この患者さん、両膝の痛みで歩くのが精一杯です。

病院玄関から診察室まで歩いて30分かかるくらい苦労されていました。

 

何とかしたいと思い、

早速DMARDを開始、さらに両膝に関節内注射として、ケナコルトを用いた注射を順次行いました。

 

高齢ゆえ、MTX使用がためらわれます。

 

ケアラムは肝機能異常で、ドロップアウトし、結局リマチルとアザルフィジン、低用量ステロイド使用のみ二なってしまいました。

 

普通は、膝への局所治療がかなり強力なので、CRP 10であっても、どんどん改善するはずで、セロネガティブであるということからも、軽いDMARDで勝ち切れると踏んでいました。

 

f:id:orthopaedicrheumatologist:20181227113215p:plain



 

現実には一度目の注射の1か月後にCRPは1.6まで改善したのですが、

その2週後にはCRP 6台に再燃。MMPも1700までしか下がらない。

 

しつこく局所治療を継続しました。

3か月かかって、CRP 3前後。MMP-3 500台。

 

敗北です。

 <広告>

 

 

 

 

バイオ導入を決断

 

さて、MTXを不使用です。

何を選択するのが良いのでしょうか?

 

 

普通なら

TCZ(アクテムラ)で満場一致と思います。

 

実際、担当した若手整形外科医は、いろいろ勉強の末、

アクテムラの使用を上申してきました。

 

 

 

私はその先です。

 

セロネガティブなので、治療反応性が悪いことから、脊椎関節炎などの血清反応陰性の他の疾患の可能性をまだのこしていました

 

 

両膝関節なので、さすがにPMRはなさそうか。

膝の付着部も腫れているので、SpAは完全には否定できないが、他の症状なく、積極的には疑わない。。。

 

 

もしもSpAだったら、、、、

 

アクテムラなどのIL-6は無効です!

 

<広告>

 

 

 

 

 

IL-6阻害薬は、CRPが著減するのですが、肝を介した低下なので、実は炎症が低下したわけではありません。

 

TypeII反応を介した、免疫反応を低下させるのみです。

CIAマウスにはIL-6阻害薬が有効だが、CAIAマウスにはIL-6阻害薬が無効なことから、このことは証明されています。

 

 

 

この症例は、serologyの産生が追いつかない、最近はやりのセロネガティブなのか、それともSpAの亜系なのか。。。

 

 

アクテムラでは、白黒はっきりつきすぎます。

 

とはいえ、他のTNF阻害薬もこの状態ではぱっとしません。

 

レミケード ×

シンポニー △

シムジア △

ヒュミラ △

エンブレル △

 

 

やっぱりTCZ行くしかないのか?

<広告>

 

 

 

 

 

そんな中、担当MRがセロネガティブの方がIL-6はよく効くという

 

本当でしょうか?

私も少し探しましたが、そのような文献は見当たらないです。

 

データーを示してもらえるように依頼しました。

 

結局症例は、若手が一生懸命勉強をしてきて選んだ結果というのと、SpAよりは関節内病変中心なので、RA>SpAでよいと思ったので アクテムラを選択しました。

 

 

この方が著効したのか、無効なのか、

1カ月もすればわかります。結果を見るのが怖いのと、、、

本当にセロネガティブに効くのならその理由が知りたい。

 

だれかご存知ですか??

<広告>