先日、アクテムラの記事を書きました。
www.orthopaedicrheumatologist.com
問い合わせを行った情報と、各論文を自分なりに目を通しての雑感と考察です。
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セロネガティブにこそ有効とまで断言はできない
担当者から紹介された情報は以下のものでした。
担当者の方、情報の転載を失礼します。
■TAMARA試験(ドイツ)
TCZ投与286例の24週後の結果として、RF陰性/陽性の患者間でTCZ投与24週時のDAS28改善、EULAR改善、ACR改善に有意な差は認められなかった。
→ RF陽性率は日常診療程度であり、ごっちゃな症例と思われる。
■FIRST-BIO STUDY(日本)
実臨床の特定使用成績調査
対象:日本の298施設で1剤以上のcsDMARDs効果不十分RA患者に52週間投与された839名
結果:52週のCDAI寛解率は36.8%。24週に寛解を達成した患者の73.7%が52週まで寛解を維持した。
早期のRA患者にACTを使用した日本のデータでも、RF因子の有無で有効性が変わらないことが示された。
→ serologyは70%程度で、それによるサブ解析はなく、これを断定要因には使えないと思う。
■Corrona RA registry(アメリカ)
セロポジとセロネガのRA患者に対してTCZ点滴静注の効果の違いを評価。
・ TCZ治療によりセロポジセロネガに関わらず疾患活動性が改善され、両群間で有意差はなかった。
⇒罹病期間・ベースラインの疾患活動性で調整後も、セロポジ/セロネガ間で違いは見られなかった
→ 確かにセロネガティブでも調整されており、有効性に差は統計上はないといえる結果が出ている。ただより有効というわけではない。
逆にセロネガティブではTNFiが不向きだというなら、この理論はなりたつ
■フランスの日常臨床下で、TCZ治療を行ったRA患者204名
・24週時のDAS28寛解率/EULAR responseと、背景因子(性別、年齢、喫煙歴、CVD歴、DAS28、CRP、RF陽性、ACPA陽性、DMARDs併用、TCZの使用順)の関係を評価した。
・EULAR response:86.1%、DAS28-ESR寛解率:40%
⇒アクテムラの有効性は、RF/ACPAに影響しないという結果
→ 論文としては成立していない学会抄録レベル
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これらのことから考えるに、3つ目の資料の深読みが重要になると思われる。
同時に他剤においても同じような結果があるのかを調べる必要性がある。
他剤における文献検索
今年のスカンジナビアに、こんな記事が載っていました。
エタネルセプトは中和抗体です。
血中のTNFに結合し、細胞にあるTNFレセプターとの結合を阻害します。
逆転現象として、作用が起きなかったことにより一時的にですが、血清中にさらにTNFが産生されます。
この論文では、投与6週後のエタネルセプト結合TNFと遊離TNFの総量が、セロネガティブで薬剤の有効性・継続性と相関していたとしています。
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はっきりとした論文は調べればあるのだろうが、、、
いろいろ調べるのに疲れました。なかなかserologyをターゲットにした論文は少ないようです。アクテムラさんと同じように、各種トライアルの結果の中に一部serologyの話が含まれる程度のようです。
したがってTCZの論文と同様に、比較しない限りはっきりとはしないと思われます。
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ところで本来、セロロジーは予後不良因子のはずです。
ACPA陽性は、予後不良因子であり、MTX早期導入が望まれるとされています。アルゴリズム上でもそうです。
つまり、バイオが効きやすいのなら、これはノーカウントのはず。
seronegativeにバイオがよく効くという風になっているのではないでしょうか?
ところがばってん、
とあるえらいさんは言っていました。
seronegativeはバイオではなく、基本のDMARDがよく効くし、進行も遅いはずなので、バイオよりはしっかりと基本治療をするべきと。
使えば聞くけど、使わなくても済むようにしっかりしなさいと。
結局答えにはなっていないか(笑)