管理人です。
今日は本業についてです。
最近のところ、小生は可能な限りの指関節の機能温存を目指しています。
シリコンインプラントを用いたしゅじゅつは、痛みもなく本人の満足度も高いのですが、やはりスペーサーですので、解剖学的な動きの再現はできないため、なんだかぼちぼちの結果となるのではないかと思っています。
時にはもしかすると、やや限界線を越えた症例を含んでいたのか、反省すべき症例もありますし、小生の経験不足から「もっとここもチェックポイントだったんだ」と反省することもあります。
人工MP関節の特に表面置換型についての知見をいくつか得ました。
それらを備忘録替わりに記載させてもらいます。
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チェックポイント① 骨切りの高さ
多くの術者が、関節面の形状と短縮量、伸筋腱脱臼の位置については見ていると思います。関節面がきれいならば、できれば人工物置換を避ける。
破壊が強いならば仕方なく、、、、人工物です。
最も大事なところですが、人工関節置換時の作図では、
どの位置にどの高さに人工物を入れるのか?
が重要です。初心者はここがまずわからない。
骨破壊だけで短縮がない症例では、ほぼin situで置換できるので、ほとんど苦労はないのですが、多くの症例ではかなりの短縮をともなうでしょう。
MP関節掌側脱臼の末の、指の短縮ですが、人工関節置換するときには脱臼を整復する必要がある、すなわち
今ある基節骨を中手骨の先っちょにもどせるか?
ということです。
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この際一番簡単の方法は、短縮している分だけ中手骨を切除する
です。作図上は、基節骨と重なって見えるところの中手骨はすべて切除して、その高さにインプラントを設置する。です。
術前の指の位置は、ある意味その時点で軟部組織のバランスが取れています。
なので、その位置まで骨切りを行い人工関節を設置することは、軟部組織の観点から理にかなっており、最も術者に安定した結果を約束します。
シリコンインプラント使用の人工関節では設置位置をそのようにして決定します。教科書にも書いてあります。
しかしながらこの高さは表面置換型インプラントには受け入れがたい高さになります。というのも、内在筋腱のほぼ起始部まで短縮した場合、骨切り位置がMP関節側副靭帯の付着部よりはるかに近位になります。 おそらく8ミリはたりないかと。
表面置換型人工関節は、設置の高さを0.5ミリ単位で決める必要があるので、8ミリなんてのは言語道断です。
すなわち、チェックポイントは術前に基節骨を引っ張って、遠位にどれだけ引き出せるのかを見ること です。
軟部の可塑性を見ていることになりますが、関節包はともかく、内在筋腱の柔軟性を確認することと等しいです。 内在筋は尺側は通常切離しますが、橈側はそのまま使います。(足の関節温存では両側切りっぱなし!うらやましい)
だから、これが固いとどれだけ頑張って他の軟部組織を解離しても表面置換の可能な高さにはならなさそうだなと思います。
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チェックポイント② 屈筋腱の走行
術前計画に伸筋腱の脱臼の有無を確認する旨は書きました。
伸筋腱は矢状策再建や腱固定など、あらゆる方法をもちいてMP関節の中央に戻す必要があります。
でないと、容易に中手骨間に脱臼してしまって、MP関節の屈筋として働き、大きく機能を損なうことになります。
小生も以前、矢状索再建でのバランス維持にこだわっていた時期があって、その時期の症例の再置換術を先日することになりました。見事にRAの活動性が悪化した時にEIPとEDC両方があっけなく滑っておちました。
でもどなたか屈筋腱を確認している方はいますか?
私は皆さんと同様、屈筋腱は見てきませんでした。でも、それが原因で術後に脱臼したとしか思えない症例に遭遇しました。
示指の表面置換なのですが、一度術後に脱臼して再置換を行いました。
脱臼症例なので、思いっきり軟部組織の再建、解離、すべてのことを行いました。
術後リハビリテーションも最善を尽くしました。
5ヵ月まで尺側偏位矯正装具を装着。。。 これでもか、、、と。
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なのに、6か月を過ぎたある日、再々脱臼をしてしまったのです。
徐々に基節骨アンカーが尺側へひかれていくのはわかったいたのですが、、無念。
長くなってきたので、
この続きは、次回その2でお話しします。