久々に本業です。
いまさら当然ですが、
関節リウマチは自己免疫疾患です。
ですので当然、治療法は免疫抑制剤をつかう薬物療法です。
ところが日常診療では、
薬物療法を行っても痛みや障害がよくならないといったことがしばしば起こります。
リウマチ内科の世界では、この
「薬物療法でよくならない部分」を
damage related impairmentといいます。
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薬物療法を頑張ったのに残念ながら生じた
マイナスの出来事ーーー
ACR-EULAR2010 分類基準で有名になったAletahaが報告しています。
irreversibleと記載されています。
つまり 仕方がない部分 というように意味づけをされています。
リウマチの世界では、ADLを
Health Assessment Questionnaire (HAQ) といわれる指標で測ることが多く、
damage-HAQと呼ばれることが多いです。
逆に、薬物療法が奏功する部分は、
activity-HAQと呼ばれます。
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damage-HAQの正体
学問的な話になりますが、
一般的には、不可逆的な関節破壊だとされています。
こんな指の骨びらんや変形は、どれだけ薬を使っても障害が残ります。
しかし最も日常生活に支障をきたすのは、膝の破壊です。
膝のdamage-HAQはかなりきついところがあります。
膝の痛みで日常生活もままなりません。
家の玄関から出るだけで、大ごとです。バスに乗るなんてとんでもない。
買い物に行って、荷物をもって歩くなんて、怖くてできない。
そんなADL状態でしょうか。
最も有効な治療法は、手術療法です。
damage-HAQには手術治療をということになります。
ところが重要なことがあります。
実は手術を行っても、全体の半分くらいしかよくならないのです!
実はわれわれ治療者は大事なことを忘れているのです。
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関節破壊は氷山の一角に過ぎない
先ほどのAletahaの論文にも書いてあります。
damage-HAQは
関節破壊だけでなく、筋骨格系の障害と肺などの合併症による制限を含みます。
合併症の治療はリウマチ医の管轄外ですので、
筋骨格系の問題を忘れてはいませんでしょうか?
そう、サルコペニアです。
www.orthopaedicrheumatologist.com
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つまり、damage-HAQの治療にはサルコペニア治療を外せないのです。
運動療法が必須なのですが、現在までのところ有効なプロトコルは確立されていません。
唯一存在するのがrecommendationです。
www.orthopaedicrheumatologist.com
でも内容は、ACSMの推奨をそのままですので、個別には使えません。
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でもリハビリテーションはやっぱり効くんです
どうしたら確実に良くなるのか、
サルコペニアの攻略法はまだはっきりしていません。
でも患者さんは待ってくれません。
私はある程度の人数、運動療法を3~5か月処方させてもらっています。
残念ながら、筋量の増加にはこの短期では結びついていませんが、体力は上がっているように思います。やっぱりリハビリテーションは効くんです。
リウマチの外来リハビリは、採算性がよくないのでしにくい環境にありますが、
手術などを契機にして、一定量を投入するのも悪くないのではないでしょうか?
結論:
damage-HAQの治療法 = 手術+リハビリテーション のベストミックス
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