リウマチ外科医の徒然草

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リウマチ母指の扱い方ーNalebuff分類から分けた術式選択

管理人です。

今週は母指変形についてです。私見をまとめました。

f:id:orthopaedicrheumatologist:20191002175642j:plainType I変形

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母指変形の病態解剖について

 

母指はcenter of the pillarともいわれ、手で最も重要な役割を持つ指であり、高い安定性と可動性を合わせ持つ必要がある。CM関節は鞍関節で、自由度の高い母指アライメントの礎となり、MP関節とIP関節で把持動作を行う。

 

 

どの部位もRAの好発関節であり、罹患状態により様々な変形を呈する。最もよく用いられるのはNalebuff分類で、初発関節と変形形態からType IからVIに分類される。



 

最も多いのはType I変形で、母指変形の約70%以上で、次いで多いのがType II変形、Type III変形がそれに次ぐ。Type VIはいわゆるムチランス変形で、著明な骨欠損をともなう。すべてNalebuff分類で分けられるといいのだが、実際の長期罹病症例では、IP関節の側方脱臼やMP関節の掌側脱臼も合併することもあり、厳密にNalebuff分類で分けられない。

 

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f:id:orthopaedicrheumatologist:20191003094601p:plain最強のTypeIII変形

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 いつ手術を決断するのか?  明確なものはない

 

・薬物療法で制御できない滑膜炎や疼痛、および著明な機能障害がある場合手術を考慮すべきである。

 

 


母指の重要な機能はピンチと把持であり、IP関節の側方脱臼や過伸展による母指対立困難や、母指内転による把持空間の減少は強い機能障害につながりやすい。

 

 

 

Type I変形は最も多い変形で、

Terrono分類により病期はearly, moderate, advanced stageに分けられ、早期では機能障害は比較的軽い。

IP関節の屈曲が不能になるadvanced stageになる以前の治療介入が必要である。

 

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手術術式の決定


 関節固定術は、除痛と安定性で最も安定した成績を得られる。しかし隣接関節の状況を考慮して適応を考えるべきであり、具体的には母指3関節(CM、MP、IP関節)のうち、固定術は1関節のみにすべきである。現在のところIP関節には関節形成術が存在しないため、CMとMP関節は関節可動性を温存するべきである。

 

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 Type I変形のearly stageでは、伸展機構再建術に代表される関節温存手術が適応となる。Terronoらの長母指伸筋腱再建法の原法では再発率が高かった。

 

 

一方近年、新たな進展機構再建法や尺掌側解離術なども登場し、治療成績は向上している。そのため一部のmoderate stageでも関節温存手術の適応となり得る。

 

しかし多くのmoderate stageの症例では、MP関節の破壊とIP関節の拘縮が生じており、IP関節の背側関節包解離とMP関節の関節固定術もしくはインプラントを用いた関節形成術が行われる。IP関節固定術が後年必要となる可能性を考慮し、可能な限りMP関節の関節形成術を施行している。

 

 

 

最後にadvanced stageでは伸展機構の短縮が著明なため、IP関節の過伸展が矯正できない。MP関節はインプラントを用いた関節形成術が適応となるが、関節安定性を損なわないよう骨切り量の調整に注意が必要である。

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 Type II変形の治療法はType I変形に準じるが、CM関節が初発のため母指内転を合併している。CM関節に対して、各種suspension arthroplastyが行われる。近年はタイトロープなどを用いた術式などさまざま報告されているが、長期成績はまだ不明である。

 


 Type III変形は、現在でも最も難しいものの一つである。

こちらを参考にされたい。

 

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CM関節の良好なアライメントとMP関節の安定性を再獲得する必要があり、どちらも関節固定術が最も効果を期待できる。しかしどちらかの関節には可動性を残す必要があるため、多くの施設ではCM関節の関節形成術とMP関節の関節固定術が選択される。

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 Type IV変形はMP関節初発であり、Type I変形に類似した病態とMP関節尺側側副靭帯の機能不全を併せ持つため、ゲームキーパーズサムともいわれる。

 

関節面が保たれている症例では、関節温存手術を積極的に考慮してよい。尺側側副靭帯は通常、基節骨もしくは中手骨付着部の一方で断裂しているため、再建が可能である。


 Type V変形はまれであり治療機会は少ない。


 Type VI変形はいわゆるムチランス変形であり、骨組織の欠損や関節や腱のインバランスが多様に存在する。各関節の病態を詳細に把握した上で、可動性より安定性を優先しする。

 

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