リウマチ外科医の徒然草

より良く生きるための抜け穴探しのゆる~いブログ

尺側偏位×ボタン穴変形は最悪?

先日、ボタン穴変形も侮れないと書きました。

その理由は、側索の短縮と位置の変化です。

 

本来、ボタン穴変形はPIP関節の罹患によって、側索が基節骨頭の回転軸よりも掌側に移動してしまうことから発生します。

したがって、尺側偏位とボタン穴変形の同時罹患は、別の病態が重なっています。

尺側偏位とスワンネック変形の同時罹患は、別に珍しくもありません。

最近はバイオ製剤の登場により、明確なスワンネック変形は見かけることが少なくなってきました。

 

話を戻します。

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このような場合の病態はどうなっているのでしょうか?

 

スワンネック変形と同様にボタン穴変形においても、側索の短縮は生じています。

ただし、スワンネック変形のように側索の基節骨基部への停止部は理論上侵されていないはずです。

つまり、ボタン穴変形で二次的にMP関節の過伸展が生じていても側索と側副靭帯の走行は温存されるはずとなります。

手根骨高の低下の影響を置いておくと、屈筋腱と伸筋腱の緊張はバランスを崩さないはずです。

 

しかし、このような症例ではMP関節の罹患により、それらがすべて破壊されています。MP関節の掌側脱臼で側索の停止部や側副靭帯はすべて消失し(焼失?)、側索はボタン穴単独の影響に加えてMP関節脱臼の影響により、さらに短縮します。

 

また伸筋腱の緊張低下によりMP関節の伸展筋力の不足が顕著になります。なのに、側索はPIP関節の掌側を通り、屈筋として働く・・・

基節骨基部を背側へ引き上げる方法も未解決・・

 

スワンネック変形と比較して、PIP関節での破壊を伴うため代償が取れないことが手指の可動性の予備能を著しく下げています。

 

これに対する治療法についてはまた後日。

 

#尺側偏位#ボタン穴変形#コンビ最悪

桜は儚いもの

先週末少し足をのばして、蹴上インクラインという花見スポットに、満開になった桜を見に行きました。

 

蹴上インクラインとは、京都と大津間の船の輸送を担っていた琵琶湖疏水のうち、船が運行できない落差の大きい場所を台車に船を載せて上下させた場所です。

 

蹴上インクラインは蹴上船溜りと現在の琵琶湖疏水記念館前の南禅寺船溜りを結ぶ延長640メートル、敷地幅22メートル、勾配15分の1の路線で、運転用の巻き上げ機は蹴上発電所の電力で運転され、通過時間は10分から15分とのことです。

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レールは通常の軌道よりはるかに広く、いかに大きいものを載せてたかが窺い知れます。

 

桜もほぼ満開です。

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外国人が多く、楽しそうに写真を撮っていましたが、小雨の降る中私は同時に儚さを感じざるを得ませんでした。

桜は1年間にたった1週間ほどだけ、最高の輝きを見せます。

すべての弁輪がそろった桜が、まるで花束のように丸く集まっている姿は命の輝きの用にも見えます。

 

1週間の輝き・・・同時に日の目を見るため、1年間眠りについていたともいえます。

栄枯盛衰、我慢しながら日の目を見るのを待つ、とても日本的な部分を感じえません。

本来、ソメイヨシノは虫がつきやすく、管理の大変な木です。日々の手入れを欠かさない職人にも頭が下がります。

 

まあ、普段はお花見で宴会なんですがね笑

 

 

医療助手の制度が始まる?

本日、気になるニュースを目にしました。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

働き方改革で、医師は対象として5年延期することが決まっています。

その間に、制度を整えるという名目でした。

 

厚生労働省のアンケートでは、

20代常勤医で1週間の勤務時間が平均55時間・待機時間が十数時間に上り、多くの年代で超過勤務が常態化していた。一方、他の職種の職員への分担により医療事務など5業務に割いた時間を2割(1日47分)軽減できることも分かった。」

 

とのことですが、どの側面で見るのが正しいのでしょうか?

 

すでに権利を持つ側にあたるわれわれとしては、医師としての総仕事量が仮に一定だとすると、

もし助手を入れるのであれば、その分の仕事のパイがとられるわけですから、我々の給与は減少します。

さらに、同程度の仕事しかできない医師は、比較して給与が高い分、当然のこと淘汰されます。 

労働時間は短くなるでしょうが、リスクの高い仕事が増える割に、給料は減少します。

 

医師の経済的自由-豊かな人生と理想の医療を両立できる第3のキャリアパス

医師の経済的自由-豊かな人生と理想の医療を両立できる第3のキャリアパス

 

 

 

軽減された仕事の分の時間を、他の仕事、診療に回すという意見もあるでしょう。

しかし、すでに医師の人数は極大化しており、いわゆる世間の方が思うおいしいパイは、60歳以上の医師で占拠されてしまっています。

そのうえ、医師がもっとの必要になる2025年ももう目の前です。

それから先は医師同士の競争の時代になります。さらに助手というライバルを入れるわけです。結果は火を見るより明らかではないでしょうか?

 

私の先輩で、最も嫌いな言葉は「レッドオーシャン」という方がいます。

私も同感です。 

整形外科を選んだ時点ではレッドオーシャンでしたが、

今ではリウマチ外科を自認していますので、ブルーオーシャンだと思っています。

(ただ、多くの人が去った後の分野ですが・・)

 

この助手制度はあまりいただけません。

個人的には、免許持ちの看護師に付与する形で、看護師の差別化を図るほうが、よほど合理的と思います。

 

医療助手レッドオーシャン#2025年問題

オーストリアは実はお金に厳しい?

オーストリア留学に難渋している件の続きです。

 

ウィーン医科大学に3か月の短期滞在を計画しています。

計画の主な障壁は3つです。

1、 先方に受け入れの了承を得ること

2、 先方大学との手続き

3、 オーストリア入国への公的な手続き

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1は以前、知人の紹介で何とかたどり着いたことを説明しました。

 

3は、仮にVisaDであっても、3か月前からしか、しかも先方からのinvitation letterのコピーを大使館に送付して、指示をもらってからでないと取れません。

 

日本人は、国間の協定で3か月以内の観光目的の滞在であれば、Visaなしで入国できることになっていますので、入国するだけなら可能かもしれませんが、万一ばれたりトラブルの際に問題になりそうなので、できれば正式にVisaを取得する必要があるでしょう。

 

いぜれにしても、順序は

ウィーン医科大学との手続き→invitation letter→大使館に連絡してVisa確認です。

 

いや、でも本当にまだこの手続きがもうどれだけたったかわからないくらい、時間がかかっている割に進んでいません。

 

以前、無犯罪証明書が三か月では発給されない旨で困っていることを書きました。

これは今でも解決していません*1

 

さらに問題があります。Grantの問題です。

 

最近はどこの国でもでしょうか?

助成金のバックアップがないと、fellowshipを受けてもらえないのです。

 

助成金の多くは、3か月の短期留学を対象にしていません。

最短で1年が最も多いです。

さらに、応募しても実際に支給されるのは一部の人だけ…

 

おそらく多くはコネで決まっている有名大学の先生方で決まってしまうのでしょう?

私のような三流大学出では、まずもらえません。

 

ただ、オーストリア助成金のバックアップを持っていないと、fellow shipとして受け入れてもらえないという話が急に浮上しました。

もともと3か月の予定ですので、自費留学、つまり研鑽の機会を買うという覚悟で臨んでいます。まったく助成がなくても本来は困らないのですが、、

 

もしも申請したGrantがすべて漏れた場合、observerでの受け入れしかできないというのです。

オーストリアという国の事情なのでしょうか?それとも他の理由でしょうか?

それがわかれば、次の手が打てるのですが・・・

 

戦いはまだ続く

 

オーストリア#留学助成金#grant#短期留学

 

*1:+_+