リウマチ外科医の徒然草

リウマチ診療を中心に過ごす外科医の、日々あったこと、考えたことをつづります

高度のスワンネック変形の未解決課題  内在筋腱のことばかり考えていると痛い目を見たという事例

なんだか最近、尺側偏位 + スワンネック変形ばかり手術しています。

症例にはなんだか、ブームのようなものがあり、全部が均等には来ないです。

 ulnar deviation + swanneck deformity = most severe deformity

いい効果もあります。

罹病期間と変形の程度が相関しないということがわかってきました。

 

拙書 

orthopaedicrheumatologist.hatenablog.com

 

orthopaedicrheumatologist.hatenablog.com

 

でも書きましたように、同じMP関節罹患の病変ですので連動するのも当然です。

では、以下の手は同じ 尺側偏位 + スワンネック変形 ですがどう違うでしょう?

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母指変形は除外してください。

 

実は、左2つは総指伸筋腱の脱臼がきつくないんです。 

Actually, the left two had less severe dislocation of EDC.

右2つは10年以上脱臼しています。

 

・そもそも尺側偏位では何が起きているのか?

 

尺側偏位では、MP関節炎により橈側側副靭帯と関節包の弛緩により基節骨の掌側亜脱臼が生じます。

 

同時にexpansion hoodの弛緩を生じ、intrinsic muscleが掌側へ滑り落ちます。sagittal band自体も緩むと私は理解していたのですが、意外とそこまで弛緩していない症例も見られます。

 

hoodの弛緩により、総指伸筋腱の尺側脱臼を生じます。

これらが複合的に起きて尺側偏位は発生・進行します。

 

掌側に脱臼した基節骨により、内在筋の支えとなる部分がなくなりますので、拘縮はより進行し、スワンネック変形を合併する・・・・

 

そんなシナリオが予想されるので、

筋の繊維化/拘縮は

内在筋 >> 外在筋

で、内在筋の合わせで骨切りをしたら外在筋は長さが余る。と考えていました。

 

しかし先日の症例で、見事に予想を上回られました。

外在筋の脱臼がきつい症例では、外在筋も長さが足りないのです!

 

・その結果、いったい何が起きるのか?

 

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外在筋があまりに長さが余ると伸展力が伝わらないので、むしろ腱をadvanceしてテンションを上げるために腱固定を行うほうが一般的です。

 

しかし今回はMP関節上に載せて、さらにMP関節の十分な屈曲を得るには腱延長が必要でした。では腱をretrogradeしたいところですが、PIPで中央策の緊張↑ になるので、連結している繊維により側索が背側に引き上げられ、PIPは反張してスワンネックが増悪するのです。

 

・どうすれば事態を回避できる??

 

では腱延長はどうするかというと、筋腱移行部は前腕ですの見えていませんし、術野の伸筋腱はどれも幅5ミリ程度、厚さ2ミリ以下です。

Z延長を当科の方針で基本にしていますが、延長部がちょうど腱固定部かhoodの縫縮部になってしまうので、施行はギャンブルになってしまいます。

結局、この症例は骨を2ミリ切り足して何とか腱の中央化ができました。

 

腱のテンションはその時点ですでにMAXですので、

advanceもretrogradeもできず、vivoのままで固定しました。

そのため、軽度のスワンネックが内在筋マイナス位では出てしまっています。

 

 

後で考えれば、lateralband mobilization法を行うべきであったかもと気づきました。

連結繊維を切って、新しいバランスの再獲得を狙う方法です。

 

ここまで考えて手術にとなると、次は皮切の問題が大きくのしかかります。

 

今回はここまで。 続きは落ち着いたら書きますね

 

#尺側偏位#スワンネック変形#内在筋腱#伸筋腱の脱臼#腱のテンション#腱中央化#mobilization