リウマチ外科医の徒然草

リウマチ診療を中心に過ごす外科医の、日々あったこと、考えたことをつづります

ボタン穴変形も手強い(最新版)

関節リウマチの指変形で有名なものに、

スワンネック変形ボタン穴変形といわれる変形があります。

 

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これらは標準整形外科学 第13版にも記載されている、いわゆる試験に出る用語です。

今日は少し専門的なことを書きます。

 

 

 

 

スワンネック変形は、典型的には指のPIP関節が過伸展して、

代償的にDIP関節が屈曲します。 

正式な用語では、白鳥の首変形といいます。

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反対に、PIP関節が屈曲し、代償性のDIP関節過伸展を生じる変形が

ボタン穴変形です。(上図)

人によってはボタンホール変形ともいいます。

 

ボタン穴変形はPIP関節の背側の滑膜炎を原因とします。滑膜炎による伸筋腱中央策の脆弱化と緊張の低下、側索間の連結する繊維の弛緩によって、側索はPIP関節回転中心より掌側への落ち込みがおきます。

 

PIP関節の伸筋であるはずの側索が、PIP関節の掌側の落ち込むことで

屈筋として働いてしまい、PIP関節の伸展ができなくなるのです。

 

 

 

 

もともと側索は、PIP関節のポジションによって(伸展から屈曲に向けて)

背側から掌側に位置を変えるようにできています。

なので、この時点では変形は可逆的です。

 

 

Nalebuffさんはボタン穴変形の分類を発表されており、

ここあたりがstage1~2の間くらいになるでしょうか。

 

 

ここから側索の短縮がおきると一気に状況は悪化をきたします。

 

側索の短縮により、PIP関節の背側に再配置することができなくなります。

 

この時点で装具療法を始めても、側索のトラブルは不可逆、むしろ ゆるむばかりで悪化を助長します。

 

 

スワンネック変形では側索のストレッチ訓練が可能なのですが、

ボタン穴変形では、かえってそれも変形を助長します。

 

 

 

ボタン穴変形は当初は機能障害が軽いのですが、悪化するとたちまち手が付けられなくなります。

 

しかも、示指・中指の2本だけ罹患するパターンが多いです。

 

変形が指によって異なると、Quadloateral Phenomenonにより、

屈曲力を減損します。

 

すなわち、握力が減弱します。

 

むしろ4本ともボタン穴変形のほうが機能がよいのです。

 

 

 

したがって、手術適応は示指・中指パターンです。 

この結果を近日中に発表を予定しています。

 

よければ、ご意見ください。

 

 

#リウマチ#ボタン穴変形#スワンネック変形#側索#PIP関節#装具治療

#機能障害#Quadlateral Phenomenon#手術