こんな記事を見ました。
われわれの所得税も上がるので、
ある意味おあいこってことでしょうか?
消費税は、ある意味公平な税負担といわれます。
(抜け道はあるようですが)
その観点からは所得税は、たしかに勤労者の意欲をより削ぐ税金です。
非勤労者におけるお金の流れを知ることは、
勤労者としても、社会貢献が必要な職業についているという
自我の観点からも重要なことと考えています。
ところで、生活保護とは、
生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。
厚生労働省HPより
つまり、社会のセーフティーネットといえるのです。
まあ、自立を”助長”って、誤用してはりますけどね。
理由はともあれ、セーフティーネットを削減するということは、
それだけ国としての台所事情がよくないということを意味します。
高齢化の影響をもろに受けます。
韓国では、年金制度の未発達から、
高齢になっても労働しないと生きていけない過酷な状態と聞いています。
いつも見るブログでは、
すでにその危険性を説いておられます。
私が今回の記事で最も気になったのはこのグラフです。
2000年以降で、高齢者の生活保護受給が3倍を超える勢いで増えているのです。
これは、われわれの外来をしているときの実感とも合致します。
外来時に悪いことをしているであろう、(詐病など)の患者は、
このグラフではその他に入ります。
その少しが過剰要求をしてきたりと印象深いので、不正受給などに目が行きがちなのですが、実は高齢者の保険が生活保護ということのほうがはるかに多いのです。
日常生活が落ちすぎていて、自己の生活もままならない、当然職に就くなんてのはむつかしいという状況が、日常診療にはあふれています。
高級住宅地の眼科診療など、お上品な客層であふれているのは、ごくごく一部のクリニックだけです。
実際に後期高齢者の患者さんとゆっくりと外来で話す機会がありました。
彼らは、ひと月7~10万円といった年金で、医療費と住居費、生活費を工面しているのです。
背骨の骨折で来られていた方でした。
骨折が治癒した後も、その縁で定期的に受診しておられます。
なので入院生活も面倒を見ていて気心が知れており、深い話ができました。
しかし、治療費も安くありません。
最近の高額な抗体製剤などの負担額はん万円かかります。
そう、頼るところがなくなれば、生活保護申請というのもあながちわからなくもありません。
そう、年金原資のくいつぶしが、生活保護費の上昇という形で表れているのです。
もう一昔前の年金が多い時期はよかったのですが、いまの受給者でもすでにアップアップする程度しか下りないのです。
社会全体で考えましょう。
社会には、どうしたって生産活動に就くことができない一部のpopulationが存在します。昔であれば、村の長老などがそうです。
かれらは働かない代わりに、子供の世話やもめごとの収拾、別の形で役に立ち、他のものはそれを金銭面など支えていました。
現座ではそれらをまるで役に立たないものかのように扱う姿勢が目につきます。
働けないものは悪? とんでもありません。社会の多様性の一部ですので、許容どころか活躍できる社会が本当に意味で理想的な社会です。
そして、それらを目指すための施策が孔子のいう「仁」です。
もうこの日本では、食い扶持が限られていて、社会的弱者に回すべき資産を召し上げて、別のことに使わないといけないくらい困窮しているのでしょうか?
少し話がそれました。
そう、社会的弱者の行動は、われわれよりも敏感に環境の影響を反映します。
これだけ高齢者が生活保護を受けているということは、
・決して自分の親を単身にしてはいけない
・年金などは全くあてにならない
・自分も単身でいてはいけない
ということを意味します。
社会的弱者は、まるで坑道のカナリアです。
その苦しみの声は、最も社会の悪化を先にとらえたものであるといえます。
この保護費の削減に反対とか賛成とか、
個人的な意見は申し上げませんが、
影響は政府が思っているよりも厳しい結果を出るのではないでしょうか?
高齢夫婦のトラブルなどがセーフティーネットの欠如で起きそうでなりません。