管理人です。今日もまじめな話です。
自分と自分の同僚の外来のやり方しか知らないので、絶対そうかわからないのですが、
リウマチ外来には特有の受診の流れがあります。
予約の約1時間前に来て採血をしてから受診する
なぜそうするのか?
採血の結果は、特別なものを除き、院内でできるものは
大体約1時間の迅速検査が可能なので、
当日の炎症反応を知ることができるからです。
当然、私も同じやり方に倣ってやっていました。
「今日のCRPはこうですね・・・」 とか。
しかし結構患者さんは遅れてやってくるもので、予約時間に来ても
採血がないため、結局実際の診察は1時間遅れになります。
採血結果を待っている時間などは、
外来みんなにとって無駄な時間でした。
遅れてきた本人だけではなく他の待っている人たちも。
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国によってこんなに異なる?
技術的にはオーストリアも当然同じレベルのはずですが、
どうも日本ほど親切ではないようです。
と言うのも、見学していたDrが
当日の外来の終了後にカルテを見直しているのです。
「?」
なんだか診察日の採血を見ないな~~~とは思っていました。
患者は実は診察後の帰りに採血をして帰っていたのです。
オーストリアの病院システムは、
電子カルテを用いた完全紙システムです。
AKH以外の病院も同様に、病院のレターヘッドが入った診察結果を印刷します。
つまり、どの病院もその日の結果をA41枚にまとめて記載し、
印刷して患者に渡しているのです。
患者は自分の結果を持ち歩き、他のDrを受診するときにそれを見せます。
つまりは、
紙ベースによる全病院共通システムです。
レントゲンなども、フィルムやCDRを渡すようなことはしません。
画像検査は、放射線科医師がそれを読影し、A4に結果を記載して、患者に渡す。
放射線科医の診断を他の医師が再確認するようなことはありません。
放射線科医の地位はとても高いのです。
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なので、実は私も
こちらに来てから画像検査の結果を見たことありません。
サマリーしか目にしていませんです。
日本の放射線科は責任を取らないけど、こっちの放射線科は責任をもって、
誇りを持っていやっているに違いない・・・・
リウマチ医は診察を、前回の採血と当日の腫れなどのチェックの上で、
投薬内容を決めて、カルテを作成し印刷、患者に渡します。
多くの場合、処方箋も作らず、家庭医(HausArzt)にフォローをしてもらいます。
治療のアドバイザーといった感じが最も近いでしょうか?
4ヵ月後くらいとか、決められたころに患者が自分で予約を取って再診します。
どこが日本と違うのでしょうか?
紙における情報共有は逆にレトロでかつ画期的でした。
安価で、内容も統一しやすい。
最も私がメリットを感じたこととしては、
患者自身が自分のことを自分で管理するようになります。
投薬の量などを聞いても自分で確実に答えはります。
ちゃんと自分のことをわかっています。
ところが日本は「おまかせ」とか「わからん」とか言って、
医療従事者に甘えてばっかりです。
ある意味カルテを含む情報を患者自身にあたえてこなかったことは、
教育面で良くなかったのかもしれません。銀行の護送船団と同じで。
これに関する考察は今回は控えます。
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本題です
ではシステムの違いはどのような差を生むのでしょうか?
リウマチ医としては、当日でない数カ月前の採血結果から、
処方変更などを判断を強いられます。
正直その日の採血の方が、自分で自信をもって処方を行えます。ただ逆に、
よっぽどのフレアアップでなかったら、おおむね変わらないとも言えます。
当日採血をすることで、逆に無用なちょっとしたCRP上昇などに踊らされることとなり、過剰投薬などを生む温床になります。
メリットとしては受診日の不調などをとらえることができ、
間質性肺炎などの合併症の最速で知ることができます。
ただ、これらのメリットの享受のために、
前述の無駄な待ち時間などの非合理的なものを受け入れているのです。
でもオーストリアも冷たいわけではないですよ。
クリニック終了後に当日の採血結果をちゃんとDrは確認しています。
そして問題があれば、HausArztに相談するよう
本人に手紙を書いて連絡を入れていました。
そう、あえて当日採血にしていないのです。
専門医はその部分だけの担当で、
合併症も含めて基本は家庭医の仕事と割り切っているのですね。
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これを日本でやるとどうなるのか?
旧来の人は難しいと思うので、新規発症の方に限りましょう。
そもそも開業医さんでは後日結果ですものね。
当日体調不良がある人は採血を行うようにするとして、
調子のいい人は前回の結果が出そろっている状態で、来院後すぐに診察できます。
コントロール不良や投薬変更前の人だけ先採血を選択する。
HBV-DNAチェックの人も、期間によっては大丈夫。
一度患者にどっちがいいか選んでもらうようにしようと思います。
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私が日本からあえて内科を選んできた甲斐がありました。
日本式に、何でも自分でできるようにと思って勉強に来ましたが、
こちらではそれは全くのナンセンスなのですね。
持ち帰りするべき内容が多くあります。