リウマチ外科医の徒然草

より良く生きるための抜け穴探しのゆる~いブログ

旅行用や出張用のキャリーは肩の筋肉を傷めないために4輪がおすすめ 

管理人です。

 

更新があいてしまいました。

いくつか挙げたのですが、諸事情により取り下げさせてもらいました。

 

 

今回は、日常の所感なので問題はなさそうです。

 

お題は、RemowaやSamsoniteなどに代表される、荷物運搬用のキャリーです。

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最近の外来で、肩腱板断裂の症例を1日に四人診た



題名の通りが結論なのですが、面白いことに、

 

4名がほとんど同じ理由で肩を痛めておられました。

 

「先日ヨーロッパに行ったんですが、石畳が多くて、、、」

「出張の時に、ホテルが駅の逆側で、、、」

 

などなど。

 

 

みなさん利き手の肩の痛みを訴えられました。

 

診察してみると、painful arc陽性で、Bear Hugテストも陽性です。

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MRIの画像は、本人ではなく、サンプル画像ですが、

診察上は、棘上筋と肩甲下筋が危ぶまれました。

そしてMRIもその通り。肩甲下筋腱と上腕二頭筋長頭腱炎も合併しています。

 

 

炎症が強い時期ですと、

 

肩は夜中に痛くて寝れません。

 

 

そういう疾患なのです。

いったんは保存的治療として関節内注射を行いました。

 

はたして彼らのうち何人かは手術になってしまうのか・。・・

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なんでキャリーケースは腱板断裂をおこすのか?

 

 ゴルフや車の後部座席のものを取るなどの動作は、これまで私はリスク因子、危険動作ととらえてきました。

 

今回のキャリーは新規案件です。

 

改めてキャリーを引く動作を見てみることとしました。

 

 

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製品は、特に私には関係ありません。

 

 

 

女性が引く動作の肩の位置を見てください。

肩関節は伸展位になっています。

 

この位置では、上腕二頭筋長頭腱はかなり伸長された位置になっています。

加えてそのため内外旋の制御に大胸筋のコントロールが効きにくい位置にあります。

 

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石畳などにキャリーがひかかったりすると、急に内外旋やけん引力がかかります。

そうして、遠心性収縮がかかり、腱付着部や筋断裂を起こすことになります。

 

 

肩関節伸展位でのものを引っ張る動作は、禁忌といっていいでしょう。

 

 

 

では、どうしたらよいのか?

 

そう、下図です。

 

キャリーは押して転がすのです。

 

 

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理想は、片手で押して進める路面状態のところを歩く。

当然、4輪でないと安定しないので、ビジネスマンが使っている2輪と2足のタイプは役に立ちません。おしゃれでもあるのですが、肩には天敵です。

 

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そう、2輪のキャリーの説明書には、肩の筋肉を傷めることがありますと、記載する時代も遠くないかもしれませんね。

 

 

新しいキャリーを買おうとか、新調を考慮している人がこの記事を見てもらえると嬉しいです。